ハッシュ! (2001/日本/橋口亮輔監督)
つたやで借りる。
「恋愛とか結婚とかじゃなく」ただこどもを産みたい、ちょっと病み気味な女の人(片岡礼子)の、
家父長制的/異性愛主義的/規範的家族観とのたたかいの話(ちょっと大げさ)。
かつひろと直也はもちろん、朝子もある意味*1「クィア」なんだけど、その自覚というか
「子供」を持つことで、「クィアとして」「家族」を「形成する」ことにたいする覚悟とか、
それを規範的家族観(を信奉する周囲の人間)への抵抗の実践と捉える意識とか、そういうものはまるでない。
彼らはもっとゆるくて、場当たりで、だからよいのだ。
その種の「軽さ」が、この映画の「さわやかさ」になっている。たぶん。てきとう。
しかし、見返してみてひっかかったのは、もうひとりの身体的「クィア」である同僚のナガタさん(つぐみ)の対照的な救われなさである。
もうすこし、見ている側が同情を寄せうるぐらいの描写があっても、と思う。
あるいは、こういう描き方にとどめるならば、「障害」の設定はいるのか、と。
そうして、すぐさま、そう思ってしまう自分の規範意識、差別意識をつきつけられることになる。
ただ、それより何より気になったのは、一緒に見ていたひとに、
「あなた、普通にこういう生活できそうだよね」
といわれたことである。「こういう」って、どういう生活だ。
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*1:性的に限定された意味でなく