ハッシュ! (2001/日本/橋口亮輔監督)

sheepthief2008-06-29


つたやで借りる。

ゲイのカップル(田辺誠一高橋和也)と、

「恋愛とか結婚とかじゃなく」ただこどもを産みたい、ちょっと病み気味な女の人(片岡礼子)の、

家父長制的/異性愛主義的/規範的家族観とのたたかいの話(ちょっと大げさ)。


かつひろと直也はもちろん、朝子もある意味*1クィア」なんだけど、その自覚というか
「子供」を持つことで、「クィアとして」「家族」を「形成する」ことにたいする覚悟とか、
それを規範的家族観(を信奉する周囲の人間)への抵抗の実践と捉える意識とか、そういうものはまるでない。


彼らはもっとゆるくて、場当たりで、だからよいのだ。

その種の「軽さ」が、この映画の「さわやかさ」になっている。たぶん。てきとう。


しかし、見返してみてひっかかったのは、もうひとりの身体的「クィア」である同僚のナガタさん(つぐみ)の対照的な救われなさである。

もうすこし、見ている側が同情を寄せうるぐらいの描写があっても、と思う。
あるいは、こういう描き方にとどめるならば、「障害」の設定はいるのか、と。

そうして、すぐさま、そう思ってしまう自分の規範意識差別意識をつきつけられることになる。


ただ、それより何より気になったのは、一緒に見ていたひとに、

「あなた、普通にこういう生活できそうだよね」

といわれたことである。「こういう」って、どういう生活だ。


ハッシュ! [DVD]

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*1:性的に限定された意味でなく