ゴッドファーザー part1 @新宿バルト9

気付けば半年ほったらかした。その間、懸案の論文をどうにか出せたということぐらいしか報告することもないが、こっそり再開。


映画館で、ゴッドファーザーを見た。


ゴッドファーザー PartI <デジタル・リストア版> [DVD]

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10年前ぐらい、まだ中学生だったときに、ビデオ(市販のものではなく、父親がなんちゃらロードショーを録画したもの)で見ようとしたことがあったのだが、その時は、マーロン・ブランドのドンの人柄はとても好きだと思ったのに、いかんせん人がかんたんに、そして残酷に死にすぎることと、裏切ったり、切られたりという「抗争」の部分がどうしてもだめで、ソニーが蜂の巣になるらへんで辛くなってやめてしまったのだった。
日本の田舎の女子中学生だったわたしには「わからない」映画だった。



それが、論文を書き上げたこのタイミングで新宿でかかっているというので、白昼一人で見に行った。
そして、30年前のアル・パチーノにやられた。
いまはどちらかというと嗄れ声の「軽い」おじさん(そろそろおじいさん、か)という感じなのに、なにあれ。びっくりする。惚れざるを得ない。
「しびれる」という言葉を慎んで送りたいと思います。30年後に今のようにならないならけっこんしたい。



はじめのシーン、妹の結婚式での坊ちゃん然とした軍服姿のマイケルが、中盤、馬面の麻薬の人(なんとも幼稚な表現だが)と悪徳警官に報復すべくレストランのトイレから隠してあった拳銃を持って出ていく前にいっとき、「ファミリー」の世界に入っていこうとする自分を認識するようにゆっくり髪を整えるマイケルになって、さらにラストシーン、ファミリーのみんなから「ドン・コルレオーネ」と呼びかけられるマイケルになる過程が、すごい。すごい格好良い。


さらに、個人的にアル・パチーノと同じくらい「やられた」のがトム役ロバート・デュヴァル。こんなに涼しげな青年だったのですね、あなたは、という感じです。プーチンに似てるけども。幸せな家庭生活を送るならこっちだな、と。(さっきからおかしなことを言っている自覚はあります。よ。)

外見は見るからに冷酷そうで、裏切る裏切らないでいえばまっさきに裏切りそうなのに、じつは最も忠実、みたいなのに自分が弱いということを思い出しました。


それから、衣裳がとてもかわいかった。特に、シチリアでのお見合い?のシーンで女の人たちが着ていたワンピース。


少しだけまじめなことを書くと、アメリカで、非アングロサクソンの移民が、どうしても生きていこうとする時に、「売春」というのは、やはり、「選択可能な選択肢」として確かにあるのだなぁということも思った。あ、あの歌手の人のショービジネスもか。